おわりに

一畑電車は、多くの地方鉄道と同様に、自動車社会の進展とともに利用者の大幅な減少に直面するなかで懸命に運行が続けられてきた。しかしながら、時代の変遷に応じた近代化や利便性向上策に必要な余力を持つことはできず、進展する道路整備などと比較しての競争力は次第に低下し、ますます苦しい現状を迎えている。

一方、そのような過酷な状況のもとでも、地域社会に対しては多くの貢献を果たしており、地域社会全体にもたらしている便益の大きいことが今回の分析のなかでもあきらかとなった。将来に向けてはその社会基盤としての貴重な役割を適切に評価して、一畑電車の能力を最大限に活かす方向に向かなければならない。

行政・民間のいずれにおいても効率性が求められるなかにおいて、厳しい採算性と進まない利便性向上の状況から脱却し、さらに活用していくためには、事業者と地域の明確な役割分担が確立されることが必要である。一畑電車を地域経済社会の活性化のための基礎的な社会基盤として魅力あるものとしていくために、「事業者の自助努力と行政の適切な関与」という基本原則に基づく新たな方式を活用していくことが期待される。

また、本提言で鉄道として存続することを支持したのは、地域に対してもたらされている便益が、存続のために必要な負担を上回ると判断されるからであり、無条件に存続が前提となるわけではない。従って、負担と便益の関係を今後も定期的に検証することが必要である。

地域にとって貴重な財産となっているこの鉄道を今後においても存続させるためには、事業者・地域が一体となって利便性向上・利用促進・安全性の確保などに対してたゆまぬ努力を続けていくことが不可欠である。


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