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〈その1〉
長者原には、昔、億万長者が住んでいた。長者には「お雪」という可憐な姫がいました。姫にはひそかに恋心を抱いていた長者の家来の若者がいました。しかし、身分の違いからあきらめかけていた・・・、そんな頃、隣村の長者から求婚があり、父親のすすめもあり、嫁ぐことにしました。しかし、長者の息子には惹かれることもなく、嫌いになるばかりでした。自分の本当の気持ちを父上に打ち明けられない悲しいもどかしさ、、、お雪は思い悩みました。 婚礼が明日に迫った夜、江川から立ちのぼる深い霧が長者原を包みました。お雪は屋敷を抜け出し、近くのこの池に身を沈めてしまった。
翌日、長者の家来たちはお雪を探したまわった挙句の果
て、池のほとりの大きな岩の前に来ました。霧にかすむ池を見て、不吉な思いにうたれた家来の一人が、「刀でこの岩が切れたら姫が池に沈んで、切れなかったら姫はどこかに身を隠しているに違いない」と言い、大岩に向かって刀を振り下ろしました。すると刀で切れるはずもない大岩がきれいに切れてしまいました。
父親は娘の死を嘆き、また娘を理解してやれなかった自分を大層悔んだんでしょう。
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